
システム開発におけるコスト高騰や深刻なIT人材不足は、多くの企業にとって早急に取り組むべき課題です。
その解決策として注目される「オフショア開発」ですが、国や企業選び、成功のポイントなど、検討すべき情報が多くてどこから手をつければ良いか分からない、という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ベトナムやインドといった主要な委託先国の特徴と料金相場を比較し、おすすめの企業を8社厳選してご紹介します。
さらに、「オフショア開発とは何か」という基本から、メリット・デメリット、そして失敗しないための6つの重要なポイントも解説します。
また、以下の記事ではオフショア開発のメリット・デメリットについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:オフショア開発とは?メリット・デメリットや失敗例・おすすめの開発企業も紹介 |
【国別比較】主なオフショア先の特徴と料金相場

オフショア開発でシステム開発を進めようと考えたとき、最初に悩むのが「どこの国に依頼すれば良いのか?」という点ではないでしょうか。
国によって、技術力や得意な分野、費用感が大きく異なります。
この章では、オフショア開発の主な委託先である「ベトナム」「インド」「フィリピン」「中国」の4カ国をピックアップし、それぞれの特徴と料金相場を比較しながら解説します。
オフショア開発の国別の価格帯については、以下の記事でも詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。
関連記事:オフショア開発の国別の価格帯!費用を抑えるコツや国内開発との比較も解説
ベトナム
オフショア開発の委託先として、最初におすすめしたいのがベトナムです。
【ベトナムをおすすめする理由】
- 若く優秀なIT人材が豊富
- 親日的で勤勉な国民性
- 日本語対応できる人材が多い
- 圧倒的なコスト競争力
政府が国を挙げてIT人材の育成に取り組んでおり、毎年多くの優秀なエンジニアが生まれています。
勤勉で親日的な国民性も、日本企業が開発を進めるうえで大きな安心材料となるでしょう。
何より魅力なのは、人件費が日本の約3分の1という圧倒的なコストパフォーマンスです。
他国と比べて優位性は高く、品質とコストの両立を目指すなら最適な選択肢といえるでしょう。
職種 | 人月単価(万円) |
プログラマー | 39.4 |
シニアエンジニア | 48.3 |
ブリッジSE | 59.0 |
プロジェクトマネージャー | 70.0 |
引用:オフショア開発白書(2024年版)|2.オフショア開発先の人月単価(職種別)
また、次の記事ではベトナムでのオフショア開発について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:オフショア開発にはベトナムが最適!おすすめの開発会社や失敗しないポイントも
インド
インドは、世界トップクラスの技術力を誇るオフショア開発大国です。
【インドの特徴】
- AIなど最先端技術の開発に強い
- 英語でのコミュニケーションが可能
- 人件費は主要国で最も高い水準
特にAIやブロックチェーンといった高度な技術を要する開発では、インドの技術力が頼りになります。
ただし、その技術力の高さからエンジニアの人件費も高く、コスト削減を第一に考える場合には不向きかもしれません。
職種 | 人月単価(万円) |
プログラマー | 53.3 |
シニアエンジニア | 61.7 |
ブリッジSE | 69.2 |
プロジェクトマネージャー | 77.5 |
引用:オフショア開発白書(2024年版)|2.オフショア開発先の人月単価(職種別)
フィリピン
フィリピンは、高い英語力を活かし、グローバルなシステム開発で人気の国です。
【フィリピンの特徴】
- ビジネスレベルの高い英語力
- 人件費が比較的安定している
- 日本との時差がわずか1時間
- グローバル向け製品開発に強み
公用語が英語であるため、海外向けのサービス開発や、社内の外国人エンジニアと連携するプロジェクトなどに適しています。
日本との時差が1時間と少ないため、リアルタイムでの連携が取りやすい点も魅力です。
職種 | 人月単価(万円) |
プログラマー | 43.0 |
シニアエンジニア | 55.5 |
ブリッジSE | 73.6 |
プロジェクトマネージャー | 78.2 |
引用:オフショア開発白書(2024年版)|2.オフショア開発先の人月単価(職種別)
中国
中国は、圧倒的な技術力を持つIT先進国ですが、コスト面では比較的高めとなっています。
【中国の特徴】
- 世界トップクラスの高い技術力
- 高難度の開発案件に対応可能
- 人件費の高騰で委託先としては減少傾向
かつては日本企業のオフショア先として筆頭でしたが、現在はカントリーリスクと人件費の高騰により、他の国へシフトする動きが強まっています。
今後は「中国でなければ開発できない」ような、非常に高度で複雑なシステム開発を依頼するケースが中心となっていくでしょう。
職種 | 人月単価(万円) |
プログラマー | 44.4 |
シニアエンジニア | 58.3 |
ブリッジSE | 65.0 |
プロジェクトマネージャー | 75.3 |
引用:オフショア開発白書(2024年版)|2.オフショア開発先の人月単価(職種別)
また、以下の記事ではオフショア開発の価格について解説しているので、合わせて参考にしてください。
関連記事:オフショア開発とは?メリット・デメリットや失敗例・おすすめの開発企業も紹介
【おすすめ8選】システム開発に強いオフショア開発企業
オフショア開発で悩むのが「実際にどの会社に依頼すれば良いのか」というパートナー選びではないでしょうか。数多くの開発会社の中から、自社のプロジェクトに本当に合った一社を見つけ出すのは大変な作業です。
そこで本章では、システム開発に強みを持ち、豊富な実績を誇るオフショア開発企業を8社厳選してご紹介します。
また、次の記事ではシステム開発の外注について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:システム開発を外注・内製するメリット・デメリットを解説!判断基準や開発費用も紹介
トッパジャパン株式会社

出典:トッパジャパン株式会社
トッパジャパン株式会社は、「品質とコストの両立」と、顧客の課題に寄り添う「柔軟な対応力」を強みとする、ベトナムでのオフショア開発に特化した企業です。
安価なだけでなく、標準化された開発プロセスと独立した品質検査チームにより、高い品質を担保しているのが特徴です。
エンタープライズシステムからAI・ロボット技術といった最先端分野まで、幅広いスキルを持つエンジニアが多数在籍しています。
オフショア開発で懸念されがちなコミュニケーション面では、経験豊富な日本人SEが顧客とベトナムチームの橋渡し役となる体制を構築。オフショア開発が初めての企業でも安心して任せられます。
株式会社モンスターラボホールディングス

株式会社モンスターラボホールディングスは、世界各国の開発拠点を活用し、大規模かつ最先端のシステム開発を得意とする企業です。
AIやAR/VR、IoTといった最新技術を用いた開発実績も豊富で、企業のDX推進をサポートします。
顧客専属のチームを組む「ラボ型開発」を主軸とし、コストを抑えながら継続的な開発体制を構築できるのが魅力です。
窓口は日本のディレクターが担当し、海外拠点とは日本語でやり取りが可能。万が一のトラブルが発生した際も、日本本社が迅速に対応するサポート体制が整っているため、オフショア開発に慣れていない企業でも安心です。
株式会社Sun Asterisk

株式会社Sun Asteriskは、スタートアップや企業の新規事業創出に特化した、「アイデアを形にする」企業です。
デザインシンキングやアジャイル開発を得意とし、企画段階から伴走。品質とスピードを両立させながら、ビジネスのアイデアを素早く形にします。
日本とベトナムを中心に1000名規模のエンジニアが在籍しており、リソースが豊富な点も強みです。
ベトナムのトップ大学と連携し、日本語が堪能で優秀なIT人材をスピーディに確保できる体制を整えています。
VNEXT HOLDINGS JOINT STOCK COMPANY

出典:VNEXT HOLDINGS JOINT STOCK COMPANY
VNEXT HOLDINGS JOINT STOCK COMPANYは、15年以上の豊富な開発経験をもとに、システム設計から構築、運用・保守までをワンストップで提供する企業です。
「品質第一」を掲げ、開発部門から独立した品質管理部が厳しいチェックを行う体制を構築。オフショア開発でありながら、日本企業と変わらない高品質な開発を実現します。
特にAWSなどのクラウドインフラ構築に強く、専門資格を持つエンジニアが多数在籍している点も特徴です。
株式会社カオピーズ

出典:株式会社カオピーズ
株式会社カオピーズは、創業から「日本一筋」を貫き、日本のビジネスや文化を深く理解したベトナムオフショア開発企業です。
取引は全て日本語で行い、顧客との橋渡し役は日本語が堪能なエンジニアが担当。仕様の齟齬なく、スムーズなプロジェクト進行を実現します。
「日本のクオリティで最後まで責任を持つ」というマインドセットを重視し、上流工程を日本人エンジニアか日本駐在のブリッジSEが担当するなど、高品質な開発体制が魅力です。
株式会社ブライセン

出典:株式会社ブライセン
株式会社ブライセンは、「失敗ゼロの品質」を掲げ、日本と海外のハイブリッドチームでオフショア開発のデメリットを解消する企業です。
日本と海外それぞれに品質管理チームを設置し、二重のチェック体制で高い品質を実現。重要なポジションには日本人エンジニアを配置することで、オフショア開発の弱点を克服しています。
特徴的なのは、国をまたぐ「ジョブローテーション制度」です。海外エンジニアが日本で実務を経験することで、技術力だけでなく日本語能力や日本文化への理解を深めており、人材の質そのものを高めています。
株式会社コウェル

出典:株式会社コウェル
株式会社コウェルは、ソフトウェアテストの国際資格「ISTQB」で最上位認定を受けるなど、グローバルレベルの高い品質を強みとする企業です。
ベトナムのIT系トップ3の大学と連携して優秀な卒業生を選抜採用し、さらに専任講師による日本語教育を徹底。全社員が日本語で業務を遂行できる高いコミュニケーション能力も魅力です。
日本国内にも多数の日本人エンジニアが在籍しており、要件定義といった開発の上流工程から手厚くサポートしています。
株式会社Core

出典:株式会社Core
株式会社Coreは、「失敗しないオフショア開発」をコンセプトに、日本人エンジニアが上流工程と最終チェックを担うことで、高品質と低コストを両立させる企業です。
納品前にも日本語ネイティブのSEが最終チェックを行うため、日本品質が保証されます。
いきなり海外との開発に不安がある企業向けに、まずは日本国内でのトライアル開発から始められる点も特徴です。効果や相性を確認したうえで、本格的なオフショア開発へスムーズに移行できます。
オフショア開発とは?

オフショア開発とは、システムやソフトウェアの開発業務を海外の企業へ委託する開発手法のことです。
【オフショア開発の主な目的】
- 開発コストを削減する
- 不足しているIT人材を海外で確保する
主に人件費が日本より安いアジア諸国の開発会社に業務を依頼します。
近年は国内のIT人材不足が深刻化しているため、コスト削減だけでなく、優秀なエンジニアを海外に求める目的でも活用が広がっています。
ただし、言語や文化の違いによるコミュニケーションの難しさや、品質管理の課題もあります。
オフショア開発とニアショア開発の違い
オフショア開発とよく比較される手法に「ニアショア開発」がありますが、一番の違いは開発拠点が「海外」か「国内の地方都市」かという点です。
どちらもコスト削減やIT人材不足の解消を目的としたアウトソーシング手法ですが、それぞれに強みと課題があるため、状況や目的に応じて選択が必要です。
項目 | オフショア開発(海外) | ニアショア開発(国内地方) |
コスト | ◎ 大幅な削減が可能 | 〇 削減できるが限定的 |
人材確保 | ◎ 豊富で大規模開発も可能 | △ 人材の層は限られる |
コミュニケーション | △ 言語や文化の壁がある | ◎ スムーズで問題なし |
リスク | △ 為替変動やカントリーリスク | ◎ 低い |
コストを最大限に抑えたい場合や、大規模な開発体制が必要な場合はオフショア開発が向いています。
一方で、円滑なコミュニケーションを最優先したい場合や、海外とのやりとりに不安がある場合は、ニアショア開発を選ぶと良いでしょう。
システム開発をオフショア開発で行うメリット・デメリット

オフショア開発を検討するうえで大切なのは、メリットだけでなく、デメリットやリスクも正しく理解しておくことです。
この章では、システム開発をオフショア開発で行うことのメリットとデメリットを、それぞれ3つのポイントに絞って解説していきます。
利点と課題の両方を把握することで、自社のプロジェクトでオフショア開発を活用すべきか、より冷静に判断できるようになるでしょう。
メリット①開発コストの削減
メリットの1つ目は、開発コストの削減です。これはオフショア開発を検討する最大の動機と言えるでしょう。
システム開発の費用は、その大半をエンジニアの人件費が占めます。
海外には、日本よりも人件費の水準が低い国が多く、そうした国に開発を委託することで、プロジェクト全体の費用を大きく抑えることができます。
メリット②優秀なIT人材の確保とリソース不足の解消
2つ目のメリットは、優秀なIT人材の確保とリソース不足の解消です。
日本国内ではITエンジニアの不足が深刻ですが、海外に目を向ければ、若く意欲的なエンジニアが数多くいます。
国内では見つけるのが難しい特定スキルを持つ人材も確保しやすく、短期間で大規模な開発チームを組むことも可能です。
メリット③開発期間の短縮
メリットの3つ目は、開発期間の短縮が期待できる点です。
優秀なエンジニアリソースを海外から投入し、国内外で作業を並行して進められる体制を取ることで、リソース面のボトルネックが解消され、結果として納期短縮につながります。
デメリット①コミュニケーションの課題
デメリットの1つ目は、コミュニケーションの課題です。オフショア開発における一番の課題と言っても過言ではないでしょう。
たとえば、「言わなくても察してくれる」といった日本の文化は海外では通用しません。言葉の壁だけではなく文化の違いによる認識のズレや誤解が生じやすいです。
システム開発においても、指示が曖昧だと意図しない成果物が上がってくる可能性が高いです。
通訳や、日本と現地の橋渡し役となる「ブリッジSE」を配置するなどの対策が必要です。
デメリット② 品質・進捗管理の難しさ
デメリットの2つ目は、品質・進捗管理の難しさです。
オフショア開発では、現地での作業がブラックボックス化しやすく、問題の発見が遅れてしまうリスクがあります。
また、日本で「当たり前」とされる品質レベルが、海外では通用しないこともあるでしょう。
品質基準を明確に定め、進捗をこまめに共有する仕組みづくりが重要です。
デメリット③セキュリティとカントリーリスク
3つ目のデメリット、セキュリティとカントリーリスクは、海外ならではの注意点と言えるでしょう。
機密情報を海外に預けることになるため、委託先のセキュリティ体制が十分か、慎重に見極める必要があります。
また、委託先の国の政治情勢が不安定になったり、法規制が変わったりすると、プロジェクトが中断するリスクもあるため、万が一に備えた対策も考えておくべきです。
トッパジャパンのシステム開発事例紹介

ここでは、トッパジャパンが手掛けたシステム開発の事例をご紹介します。
【プロジェクト概要】
- お客様: 国立大学
- 課題: オンプレミス環境からクラウドへの移行による経費削減
- 依頼理由: 国内外のクラウド移行経験が豊富だったため
- 開発期間: 3ヵ月
このプロジェクトでは、経費削減を目的に、学内のオンプレミス環境をクラウドサーバーへ移行する計画がありましたが、セキュリティ要件から、海外だけでなく国内のクラウドサービスも併用する必要があり、移行経験が豊富な弊社にご依頼いただきました。
弊社は移行作業に留まらず、情報の共有や作業を自動化するツールも併せて開発しました。
結果として、お客様は当初の想定を上回る経費削減を実現でき、その費用を学生募集の戦略予算に充てることができたと、大変喜んでいただけました。
「オフショア開発は失敗しやすい」は本当?成功させるための6つのポイント
「オフショア開発は失敗しやすい」という話を耳にして、導入をためらってはいませんか。
確かに、言語や文化の壁があるため、国内開発と同じ感覚で進めると失敗するリスクはあります。
しかし、成功している企業は、必ず押さえるべき以下のポイントを実践しています。
- 開発の目的を明確にする
- 丸投げは厳禁
- パートナー選びを慎重に行う
- ブリッジSEの質と役割を重要視する
- 「言わなくてもわかる」を捨て、徹底的に言語化する
- スモールスタートでリスクを軽減
オフショア開発の成否は、こうした事前の準備と開発中の丁寧なコミュニケーションにかかっています。
安易に「安いから」という理由だけでパートナーを選ぶと、思わぬ落とし穴にはまることも。 パートナー選びは費用だけではなく、過去の実績やサポート体制も含めて比較検討しましょう。
失敗する要因とより詳しい対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:オフショア開発の失敗事例4選!成功させるポイントや代替案も紹介
まとめ
オフショア開発は、多くの企業が抱えるコストや人材の課題を解決する手段のひとつです。
成功の秘訣は、メリットとデメリットの両面を正しく理解し、自社の目的に合った信頼できるパートナーを見つけることに尽きます。
この記事で得た知識をもとに、まずは自社のニーズにマッチしそうな国や企業がどこなのか、開発においてどのポイントを重視すべきかを整理してみましょう。
この記事の著者

- ベトナムの優秀な開発チームによるオフショア開発サービスを提供している開発会社。国内基準のコミュニケーション・品質・対応を重視し、幅広いスキルを持つエンジニアが高品質で安心な開発を実現。柔軟性とコストパフォーマンスを両立したサービスで、お客様のニーズにお応えしています。