
近年、IT人材不足や開発コスト削減のため、多くの日本企業がオフショア開発を導入しています。
しかし、言語や文化の壁・時差・品質管理の違いなど、国内開発とは異なる課題が存在するため、十分な準備なしに進めると失敗するリスクも高いのが現実です。
本記事では、納期遅延や仕様相違・品質問題・予算超過といった典型的な失敗パターンを解説するとともに、これらを回避するためのポイントを紹介します。
オフショア開発を検討中の企業担当者や、すでに進行中のプロジェクトで課題に直面している方は、本記事を参考に適切なパートナー選びや開発体制の構築を行い、グローバル開発の利点を最大限に活かしてください。
トッパジャパンはコストパフォーマンスに優れた「国内品質」のオフショア開発会社です。オフショア開発を成功させるポイントをまとめた資料を無料で公開しています!
目次
オフショア開発でよくある失敗事例4選

オフショア開発は、コスト削減や人材確保のために有効な戦略ですが、思わぬ落とし穴も潜んでいます。海外との取引ならではの課題が原因で、せっかくの開発プロジェクトが期待通りの成果を得られないケースも少なくありません。
本章では、オフショア開発でよく見られる4つの失敗事例を詳しく解説します。
- 納期が守られない
- 仕様と全く違う成果物が完成する
- 品質が低く、バグが多発
- コスト削減のはずが、予算オーバーする
これから海外発注を検討している方や、現在進行中のプロジェクトで問題に直面している方は、ぜひ参考にしてください。
1. 納期が守られない
納期遅延はオフショア開発で多くみられる問題です。予定通りに進まず、ビジネス計画全体に影響することも珍しくありません。
【主な納期遅延の原因】
- 文化による時間感覚の違い
- 曖昧な要件による手戻り
- 進捗確認の不徹底
- 時差によるやり取りの遅れ
特に注意すべきは文化のギャップです。日本では当然の「納期厳守」の概念が、必ずしも共通認識になっていないことがあります。
こうした問題を防ぐには、余裕を持ったスケジュール設計と細かな進捗管理が欠かせません。具体的なマイルストーンを設定し、定期的なオンライン会議で状況を確認する体制を構築しましょう。日本国内以上に進捗の可視化と確認を徹底すれば、納期リスクは大幅に軽減できます。
2. 仕様と全く違う成果物が完成する
期待していた仕様と大きく異なる成果物が納品されるのは、オフショア開発の失敗例のひとつです。
【仕様相違が発生する主な要因】
- 日本特有の「暗黙の了解」が伝わらない
- コミュニケーション不足
- 文書だけでは伝わりにくいデザイン意図
- 言語の壁による仕様解釈の違い
日本では説明不要と思われる機能やデザインのニュアンスが、文化的背景の異なるオフショア先では独自解釈されることもあります。特にテキストベースの少ない打ち合わせだけでは、細部まで正確に伝えることは困難です。
この問題を解決するには、視覚的な資料を多用し、定期的なデモ確認の機会を設けることが重要です。明確な仕様書と丁寧な説明がプロジェクト成功の鍵となるでしょう。
成果物に対する認識をすり合わせるため、コミュニケーションの方法や頻度について検討してみてください。
3. 品質が低く、バグが多発
納品されたシステムで多数のバグが発見される事態も想定されます。表面的には完成しているように見えても、実際の使用で不具合が次々と見つかることがあります。
【品質低下の主な原因】
- コード規約が統一されていない
- テスト工程の簡略化
- 品質基準の認識差
- ドキュメント不足
- レビュー体制の不備
読みにくいソースコードや命名規則の不一致は、将来的な保守性を大きく損ないます。また、多くの場合でテスト工数が十分に確保されておらず、全画面表示の崩れや予期せぬ動作不良が後から発覚するケースもあります。
この問題への対策として、開発開始前に品質基準を明確に定め、共有することが必須です。また、日本側でも最終テストを入念に行い、早期に問題を発見する体制を整えましょう。品質管理には手間とコストがかかりますが、後の大幅修正を防ぐ投資と考えるべきです。
4. コスト削減のはずが、予算オーバーする
オフショア開発は低コストが魅力ですが、実際には予想外の出費で総額が膨らむケースが少なくありません。
【予算超過の主な要因】
- 為替変動リスク
- 見えない修正コスト
- 仕様変更の繰り返し
- コミュニケーション関連費用
- 品質管理の追加工数
特に近年は円安の影響で人件費が上昇しており、コストが増加しました。
この問題を避けるには、初期コストだけでなく、想定される全工程の費用を詳細に見積もることが重要です。特に通訳や翻訳、頻繁な渡航、品質管理などの隠れコストを含めた総額で判断しましょう。
また、契約時に為替変動への対応も明確にしておくべきです。安さだけに目を奪われず、総合的なコストパフォーマンスで判断することが、予算超過を防ぐ秘訣です。
(4STEP)失敗しにくいオフショア開発の進め方

オフショア開発のメリットを最大限に活かすには、コスト削減だけでなく、国内基準の品質管理とスムーズなコミュニケーション体制の構築が必要です。
多くの企業がオフショア開発で期待した成果を得られずにいますが、その主な原因は進め方にあります。
上の画像ですと、STEP2やSTEP3から着手することが多く、コミュニケーション不全や品質管理の甘さから失敗に終わるケースが目立ちます。
トッパジャパンでは、プロジェクト成功は正しい手順にあると考え、以下の通りSTEP1から着実に進めます。
- STEP1:国内エンジニアのサポート体制を構築
- STEP2:日本人ファシリテーターが加わる
- STEP3:お客様と現地開発部隊が直接やり取りする
- STEP4:ベトナム側のエンジニアを固定化
着実な進め方を徹底することで、コストを抑えつつ高品質な開発体制を構築し、お客様のオフショア開発を成功に導きます。
STEP1:国内エンジニアのサポート体制を構築する
まず、国内に技術スタッフを配置することから始めます。これが、高品質とコストメリットを生み出すための最初のステップです。
国内エンジニアがサポートすることで、コストは高めに感じられるかもしれませんが、結果として品質面で国内基準を重視し、初めてオフショア開発を行う企業様にとっては、最も確実で安心な体制と言えます。
【国内エンジニアによるメリット】
- 現地との技術的な認識のズレも国内エンジニアが即座に解消
- 進捗確認や品質チェックを日本側で実施し、バグの早期発見と修正指示をタイムリーに行う
- 複雑な仕様や急な変更も、国内エンジニア経由で正確かつスムーズに伝達
この最初のステップを確実に行うことで、プロジェクト全体の品質基盤を固め、手戻りによる無駄なコスト発生を防ぎます。
STEP2:日本人ファシリテーターが加わる
次に、言語や文化の壁を乗り越えるため、ブリッジSEとも呼ばれる日本人ファシリテーターがお客様と現地チームの間に立ち、円滑なコミュニケーションを確立します。
このステップにより、国内エンジニアが築いた品質基盤の上に、さらに強固な信頼関係と効率的な開発プロセスを構築します。
【日本人ファシリテーターがもたらす効果】
- 言語・文化の壁の解消
- 業務慣行の相互理解
- 発注側の真意の正確な伝達と現地状況の的確な報告
このステップを経ることで、コミュニケーションロスによる手戻りや認識齟齬を削減し、開発の効率化とコスト削減に貢献します。
STEP3:お客様と現地開発部隊が直接やり取りする
プロジェクト内のコミュニケーションギャップが解消された段階で、現地開発チームがお客様と直接コミュニケーションを取れる体制へ移行します。
これにより、開発効率と品質が飛躍的に向上し、お客様との信頼関係もより強固なものになります。
この段階では、お客様の要望(品質重視・コストメリットの追求など)に合わせた体制へと柔軟に移行支援を行います。
STEP4:ベトナム側のエンジニアを固定化する
最終的に、プロジェクトにフィットした現地エンジニアを固定化し、開発のコストメリットを追求するとともに、品質を安定させる体制を構築します。
「固定チーム制」により、人材の入れ替わりを防ぎ、短期的にも長期的にも経済的なメリットを生み出し、プロジェクトの習熟度に応じた最適な体制を実現。これが、失敗を防ぎつつコストパフォーマンスを両立させる秘訣です。
【固定チーム制によるメリット】
- 引継ぎ・学習コストの削減
- 手戻りの減少と追加費用の抑制
- コミュニケーションコストの低減と保守・運用の効率化
長期的な視点でコストパフォーマンスを最大化するには、人材の定着率の高さがポイントです。
トッパジャパンでは、この4つのステップを着実に踏むことで、お客様のビジネスを成功に導く、高品質かつコスト効率の高いオフショア開発を提供します。
オフショア開発の成功事例

本章では、トッパジャパンが手がけた具体的な成功事例をご紹介します。
- 事例1:教育系アプリ(プログラム教育)のVR(Virtual Reality)モジュール開発
- 事例2:電子ホワイトボードにバンドルするAIアプリケーション開発
- 事例3:オンプレ環境をクラウドシステムに移行するプロジェクト
技術力の高さと柔軟な対応力で顧客の課題を解決し、ビジネス成果につなげた実例から、オフショア開発の可能性と効果的な活用法が見えてくるでしょう。
トッパジャパンはコストパフォーマンスに優れた「国内品質」のオフショア開発会社です。オフショア開発を成功させるポイントをまとめた資料を無料で公開しています!
事例1:教育系アプリのVRモジュール開発
ソフトウェアメーカーが直面していた教育アプリの売上低迷を、最新VR技術の導入で打開した事例です。国内では確保が難しかった専門技術者を調達し、短期間で革新的な機能を実装しました。
アプリ販売が伸び悩む中、差別化要素としてVR機能の追加が計画されましたが、社内にはこの分野の開発者がおらず、市場投入の期限も迫っていました。そこでVR開発に精通した技術者を持つトッパジャパンに依頼し、8か月という限られた期間で高品質なVRモジュールの開発に成功。
この連携により、先端技術を活用した魅力的な教育コンテンツが完成しました。国内だけでは困難だった技術的課題を、オフショア開発の活用で効率的に解決した好例といえるでしょう。
事例2:電子ホワイトボード用AIアプリケーション開発
価格競争から脱却するための差別化戦略として、ハードウェアメーカーがAI機能を搭載したアプリ開発に成功した事例です。
電子ホワイトボード市場は激しい価格競争に陥っていましたが、この状況を打破するため、メーカーは独自のAIアプリ開発を計画。しかし、高度なAI技術者の確保が課題でした。
そこでAI開発の豊富な実績を持つトッパジャパンとの協業により、6か月という短期間で専用アプリの開発に成功しています。
このアプリは競合他社にない機能を実現。価格だけでなく機能面での優位性を確立し、市場での差別化に成功しました。
事例3:オンプレ環境からクラウドへの移行プロジェクト
国立大学の経費削減と業務効率化を目的とした、システム基盤のプロジェクトです。複数のクラウドサービスを組み合わせた最適なシステム構築により、コスト削減と業務改善を同時に実現しました。
大学では運用コスト削減のため、従来のオンプレミス環境からクラウドへの移行を計画。セキュリティ要件から国内外のクラウドサービスを併用する必要があり、そのための専門知識を持つトッパジャパンに依頼しました。
設計、移行作業、構築、保守だけでなく、情報の共有化や自動化するツールもあわせて開発。結果的に運用コストをさらに削減でき、浮いた予算を学生募集戦略に振り向けることができました。技術的な課題解決だけでなく、経営面での貢献も実現したオフショア開発の好事例といえるでしょう。
オフショア開発を導入している企業が増えている理由
近年、多くの日本企業がオフショア開発を積極的に導入しています。この背景には、深刻化するIT人材不足があります。2023年の調査では、約62%の企業がDX人材が「大幅に不足している」と回答しており、この人材ギャップを埋める手段としてオフショア開発が注目されているのです。
【オフショア開発導入の主な理由】
- 国内人件費の高騰を抑制
- 慢性的なIT人材不足の解消
- 海外の高度な技術力の活用
- グローバル市場での競争力強化
特に注目すべきは、海外IT人材の質の向上です。AIやIoTなど最新分野の開発も可能で、コスト削減だけでなく、技術力向上やグローバル展開の加速など、多角的なメリットがオフショア開発導入の追い風となっているのです。
オフショア先として多い国・地域

グローバル化が進む現代のシステム開発において、オフショア開発は人材確保とコスト最適化の重要な選択肢となっています。主なオフショア開発委託先は以下の通りです。
- ベトナム
- フィリピン
- 中国
- インド
本章では、主要なオフショア開発先となっている4つの国・地域の特性を比較し、それぞれがどのようなプロジェクトに適しているかを解説します。
ベトナム
ベトナムは日本企業からのオフショア開発委託で最大のシェア(42%※2024年)を誇り、バランスの取れた強みが高く評価されています。
【ベトナムの主な特徴】
- 日本の約3分の1程度の人件費で高品質開発が可能
- 国策によるIT教育推進
- 日本語教育が盛んで日本語対応可能な人材が多い
- 親日的で勤勉な国民性により日本企業との相性が良い
- 日本との時差が2時間と少なく連携がスムーズ
ベトナムの魅力は、コストと品質のバランスの良さです。エンジニア単価は日本の半分以下ながら、国を挙げたIT人材育成により技術力も着実に向上しています。
文化面では、勤勉さや責任感のある国民性が日本企業の価値観と合致しやすく、時間や納期を守る意識も強いため、協業がスムーズです。また、日本語を学ぶエンジニアが多いことも大きな利点で、コミュニケーションの壁が低いのが特徴です。
フィリピン
フィリピンは英語力の高さと若い労働力を強みとするオフショア開発先で、グローバル展開を視野に入れる企業に適しています。
【フィリピンの主な特徴】
- 英語が公用語で高いコミュニケーション能力
- BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の豊富な実績
- 日本との時差がわずか1時間と最小
最大の強みは英語の対応力で、公用語が英語であるため、ビジネス文書も英語で作成可能です。欧米企業との取引実績も豊富で、英語圏市場向けのプロジェクトにも対応できます。ITエンジニアも年々増加しており、特にBPO分野での実績が顕著です。
コスト面でも競争力があり、時差が1時間とほぼ同時進行で業務ができるのも大きな利点です。
中国
中国は高度な技術力と巨大な市場を背景に、先端分野での開発に強みを持つオフショア先として長年の実績があります。
【中国の主な特徴】
- AI・IoTなど先端技術分野で世界トップクラスの実力
- 日本企業とのビジネス経験が豊富
- 日本との時差がわずか1時間と連携がしやすい
中国の最大の強みは技術的成熟度の高さです。世界クラスのIT人材を多数抱え、AIや機械学習、ビッグデータなど最先端分野で顕著な実績があります。
一方で、人件費は近年急騰しており、沿岸部の大都市では日本並みかそれ以上になることも。高度な技術力が求められる大規模開発や先端技術案件、中国市場進出を視野に入れたプロジェクトに適した選択肢といえるでしょう。
インド
インドは、グローバル水準の技術力と膨大な人材プールを強みとしています。
【インドの主な特徴】
- ITエンジニアが300万人超という圧倒的な人材規模
- グーグル・マイクロソフトCEO輩出など高い教育水準
- 欧米企業との豊富な開発実績と国際標準対応力
インドの最大の強みは、世界有数のIT人材の厚みです。300万人を超えるエンジニアが在籍し、理数系教育に強みを持つ高度な人材を継続的に輩出しています。
コスト面では中国より優位性があり、若手人材は比較的低コストで確保可能です。
課題としては、日本語人材がほぼ皆無で英語でのコミュニケーションが前提となることや、文化的背景の違いからのギャップ、さらに宗教的休日が多い点などが挙げられます。
オフショア開発の成功確度を高める秘訣
オフショア開発の成功確度を高める秘訣としてトッパジャパンが提案する方法は、日本とベトナムの開発チームの効果的な連携と独自の開発プロセスにあります。
【トッパジャパンの主な特徴】
- 日本企業と契約できる
- 日本文化教育を受けたIT人材による開発が可能
- 日本人SE/ファシリテーターや現地PMによる管理体制がある
- 品質管理体制がある
上記の管理体制と日本文化教育を受けたIT人材の活用により、言語・文化の壁を越えた高品質な開発を実現しています。日本企業が直接契約できる点も、取引の透明性と安心感を高める重要なポイントです。
詳しくは、以下の資料をご覧ください。
トッパジャパンはコストパフォーマンスに優れた「国内品質」のオフショア開発会社です。オフショア開発を成功させるポイントをまとめた資料を無料で公開しています!
まとめ
オフショア開発はただのコスト削減策ではなく、グローバル人材の活用による技術革新や事業拡大の鍵となる戦略です。
本記事で紹介した納期遅延・仕様相違・品質問題・予算超過といった失敗パターンは、適切な対策で回避可能です。
国内エンジニアのサポート体制・日本人ファシリテーターの配置・コミュニケーション環境の構築、そして開発チームの固定化がオフショア開発成功のポイント。
ベトナムをはじめとする各国の特性を理解し、プロジェクトに最適なパートナーを選定することも重要です。言語や文化の壁を越え、明確な品質基準の共有と進捗管理を徹底することで、オフショア開発の真価を発揮できるでしょう。
