
オフショア開発において、開発パートナー選びと費用管理は重要なポイントです。
オフショア開発の費用は、国や地域によって価格帯が異なりますが、為替の変動やIT人材の不足などの理由で、その差がより顕著になっています。そのため、企業のニーズに合わせた選択が今まで以上に重要になっています。
各国の技術力や人材供給力、コミュニケーション体制なども、プロジェクトの成否に影響を与える要素です。
本記事では、主要なオフショア開発先の価格帯と特徴を詳しく解説するとともに、費用を抑えるためのポイントや、国内開発との比較を通じて、最適な開発パートナー選びのための情報を提供します。
目次
【国別】オフショア開発の価格帯
オフショア開発のコストは国や地域によって異なります。
特に人月単価は、その国の経済状況や技術力、IT人材の供給状況などにより変動します。
ここでは、オフショア開発白書(2024年版)をもとに、主要なオフショア開発先の価格帯と特徴を解説するので、予算計画の参考にしてください。
【国別のオフショア開発の価格帯】

引用:オフショア開発白書(2024年版)|2.オフショア開発先の人月単価(職種別)
ベトナム|約39~70万円
ベトナムの人月単価を見ると、ブリッジSEの単価は上昇していますがプログラマーやシニアエンジニアといった職種では単価が減少しています。国策によるIT教育の充実が質の高い人材を多く輩出しているため、単価が減少したと考えられます。
特に、ホーチミン工科大学やハノイ工科大学など、優秀なIT人材を輩出する教育機関との連携により、安定した人材供給を実現しています。
また、地域によって単価に差があり、ハノイやホーチミンに比べ、ダナンなどの新興都市では比較的安価で開発が可能です。ただし、近年は欧米企業からの需要も増加しており、単価の上昇圧力も出てきています。
職種 | 人月単価(万円) | 前年比 |
プログラマー | 39.4 | -2.1% |
シニアエンジニア | 48.3 | -1.7% |
ブリッジSE | 59.0 | +2.1% |
プロジェクトマネージャー | 70.0 | -11.9% |
フィリピン|約43~78万円
英語力の高さが強みのフィリピンは、ベトナムと比較してやや高めの単価設定となっています。特にグローバル向けのサービス開発や多言語対応が必要なプロジェクトでは、この強みが活きます。
時差が日本と1時間という地理的な利点は魅力ですが、日本語人材は比較的少なく、日本語でのコミュニケーションが必要な場合は、ブリッジSEのコストが高くなる傾向があります。
職種 | 人月単価(万円) | 前年比 |
プログラマー | 43.0 | +20.0% |
シニアエンジニア | 55.5 | +4.1% |
ブリッジSE | 73.6 | -9.4% |
プロジェクトマネージャー | 78.2 | +10.4% |
中国|約44~75万円
中国の開発単価は前年から全体的に下落傾向にありますが、地域による差が大きいのが特徴です。特に内陸部と沿岸部では状況が異なり、内陸部では比較的安価で開発できます。
技術力は世界トップレベルで、特にAIなどの先端技術分野では高い競争力を持っています。BATHと呼ばれる大手IT企業を中心に、研究開発への投資も活発です。
ただし、カントリーリスクへの懸念から、他国への移行を検討する企業も増えています。今後は高度な技術開発の担い手としての役割が期待されます。
職種 | 人月単価(万円) | 前年比 |
プログラマー | 44.4 | -12.1% |
シニアエンジニア | 58.3 | -5.6% |
ブリッジSE | 65.0 | -18.0% |
プロジェクトマネージャー | 75.3 | -18.3% |
ミャンマー|約27~67万円
ミャンマーは政情不安がリスク要因となっているものの、IT教育は盛んで人材も豊富です。日本市場を重視しており、日本人との相性の良さも特徴。また、円安の影響も比較的少なく、コスト面での優位性を保っています。
今後、政情が安定すれば、成長が期待できる市場といえます。ただし、現時点では新規案件の獲得に苦戦する企業も多く、状況を注視する必要があります。
職種 | 人月単価(万円) | 前年比 |
プログラマー | 26.9 | -2.1% |
シニアエンジニア | 41.9 | -22.6% |
ブリッジSE | 55.6 | -18.6% |
プロジェクトマネージャー | 66.9 | -31.4% |
インド|約53~78万円
インドは6カ国中で最も高い単価水準となっています。これは、欧米市場を主なターゲットとしており、高い技術力を強みとしているためです。コストメリットよりも、技術力や豊富なリソース、コンサルティング能力を重視した戦略を取っています。
近年は単価の高止まりが見られますが、エンジニアの質は世界トップクラスを維持。特にIT分野での教育が充実しており、インド工科大学(IIT)などから優秀な人材を継続的に輩出しています。ただし、日本市場に注力する企業は限定的です。
職種 | 人月単価(万円) | 前年比 |
プログラマー | 53.3 | +4.9% |
シニアエンジニア | 61.7 | -10.3% |
ブリッジSE | 69.2 | -26.4% |
プロジェクトマネージャー | 77.5 | -30.4% |
バングラデシュ|約35~75万円
バングラデシュは、プログラマーやシニアエンジニアの単価が比較的低く抑えられていますが、ブリッジSEとPMの単価は高めです。これは、欧米市場向けの開発が中心で、日本向けの開発に対応できる人材が限られているためです。
1億5千万人以上の人口を抱え、IT人材の供給力は豊富。インドの開発会社と連携し、上流工程をインド、下流工程をバングラデシュが担当するような開発体制も見られます。近年は日本からの投資も増加しており、今後の成長が期待されています。
職種 | 人月単価(万円) | 前年比 |
プログラマー | 35.0 | -20.7% |
シニアエンジニア | 42.5 | -7.9% |
ブリッジSE | 80.0 | -12.0% |
プロジェクトマネージャー | 75.0 | +28.0% |
オフショア開発の価格の決まり方

オフショア開発を進めるにあたり、費用の内訳に対して理解を深めることはとても重要です。オフショア開発の価格は、主に以下の要素で決まります。
- 地域別の人件費
- プロジェクトの規模や難易度
- 開発者のスキルと経験
- 契約形態
- その他の経費
ここでは、オフショア開発会社の選定や見積もり評価に役立つ、価格決定の仕組みを解説します。
地域別の人件費
オフショア開発の価格は、地域によって大きな差があります。
【国別のオフショア開発の価格帯】

引用:オフショア開発白書(2024年版)|2.オフショア開発先の人月単価(職種別)
オフショア開発白書2024年版のデータによると、ミャンマーの場合、プログラマーの人月単価は約27万円です。一方、インドは約53万円と、大きな差があります。
ただし、これらは平均値であり、実際の単価は企業の実績や技術力により変動する点に注意が必要です。
また、為替変動のリスクも考慮すべき要素です。日本円での契約が可能な開発会社を選ぶことで、このリスクを軽減できます。
プロジェクトの規模や難易度
開発費用は案件の内容によっても大きく変わります。規模が大きくなれば必要な工数も増え、それに応じて費用も上昇します。
見積もりの算出方法は以下の通りです。
- 人件費=人月単価×開発期間×必要人数
- 保守運用費用=開発費用の約5%
- プロジェクト管理費用=全体の10~30%程度
上記の数字はおおよその相場です。特殊な技術要件がある場合は、それに応じて単価が上がります。AIやブロックチェーンなど、高度な技術を必要とする開発では、通常より高額になる傾向も。
また、要件定義や設計・テスト工程など、各フェーズの作業量も価格に影響します。これらを含めた総合的な予算計画が必要です。
開発者のスキルと経験
開発者の技術力も、開発費用に影響します。

オフショア開発白書(2024年版)によると、職種別の人月単価には明確な差があり、6カ国平均で、プログラマーで約41万円、シニアエンジニアで約56万円となっています。
経験やスキルで分類すると、以下のとおりです。
職種 | 主な役割と責任 |
プログラマー | 実際のプログラム作成を担当し、基本的なシステム実装を行う |
シニアエンジニア | 技術面のリーダーとして、システムの設計から実装までを統括 |
ブリッジSE | 顧客と開発チームの架け橋となり、要件の理解と技術的な実現を調整 |
プロジェクトマネージャー | プロジェクト全体の管理者として、進行や予算、チームの指揮を担当 |
また、品質管理やセキュリティ面での知識も、単価に影響する要素となります。
契約形態
開発パートナーとの契約形態により、予算管理や開発の進め方が大きく異なります。自社のニーズに合った契約形態を選択することが重要です。
契約形態 | 特徴 | メリット | デメリット |
固定価格型 | 開発内容と価格を事前に確定 | ・予算が明確・成果物が保証される | ・仕様変更時に追加費用発生・柔軟な対応が難しい |
時間単価型 | 稼働時間に応じた課金 | ・柔軟な開発が可能・チーム編成の自由度が高い | ・予算管理が難しい・工数超過のリスク |
初めてオフショア開発を行う企業は、明確な要件定義と予算管理が可能なため、固定価格型から始めるのがおすすめです。一方、仕様変更が予想されるケースでは、柔軟な対応が可能な時間単価型を選択すべきでしょう。
その他の経費
基本の開発費用以外に発生する経費は、プロジェクトの円滑な進行に欠かせない要素です。開発規模や期間によって変動するため、事前の計画が重要です。
コミュニケーション関連費用には、通信費やオンライン会議ツール、必要に応じて通訳・翻訳費用が含まれます。特に言語の壁を超えるための費用は、品質確保の観点から重要な投資となります。
また、重要な局面での対面の打ち合わせに備え、渡航費や滞在費などの予備費を確保しておくことをおすすめします。これらの経費を適切に見積もり、プロジェクト全体の予算に組み込むことで、スムーズな開発進行が可能です。
国内開発とオフショア開発の比較

システム開発を検討する企業にとって、国内開発とオフショア開発の違いを理解することは重要です。ここでは、以下の観点から両者の違いを解説します。
- コスト
- 人材供給力
- 技術力と開発体制
- プロジェクト管理の難しさ
コスト
開発コストは、国内とオフショアで大きな差があります。国内のITエンジニアの人月単価は80万円〜120万円程度ですが、オフショア開発の場合、6カ国平均で41万円から85万円と、大幅に抑えることが可能です。
ただし、ブリッジSEの費用や通信費など、追加で必要となる経費も考慮が必要です。それでも全体として30〜40%のコスト削減が期待できます。
人材供給力
国内のIT人材不足は深刻で、経済産業省の調査によると、2030年には約59万人が不足すると予測されています。一方、オフショア開発先では状況が異なります。
【人材供給の現状】
- 国内:年々不足が深刻化
- ベトナム・ベトナム:年間数万人のIT人材を輩出
特にベトナムでは、ハノイ工科大学などの教育機関で優秀なエンジニアが育成されており、必要なスキルを持つ人材を迅速に確保できます。また、若手エンジニアが多いため、最新技術への対応も迅速です。
このように、人材確保の面では、オフショア開発が大きなメリットを持っています。ただし、言語やコミュニケーションの課題もあるため、適切なマネジメント体制の構築が重要です。
出典:経済産業省|IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果
技術力と開発体制
オフショア開発における技術水準は、近年大きく向上しています。特にAI・IoT・ブロックチェーンなど、先端技術への対応力が強化されており、国内企業と遜色ない開発品質を実現できるケースが増えています。
特定の分野に特化した専門家を多く抱え、最新技術への投資も積極的に行われているため、高度な技術要件にも対応可能です。
開発体制は、主に請負型とラボ型の2つがあります。
請負型開発 | 開発会社が成果物の責任を負う発注側の工数を抑制可能仕様変更への柔軟性は低い |
ラボ型開発 | 必要な人材を柔軟に確保開発スピードの向上が可能継続的な管理が必要 |
品質管理体制の確立と開発プロセスの標準化も進んでおり、多くのオフショア開発企業がISO認証を取得しています。これにより、品質面での信頼性も向上。また、自社開発ツールやフレームワークを持つ企業も増えており、効率的な開発体制が整っています。
プロジェクト管理の難しさ
オフショア開発において、最大の課題はコミュニケーションであり、それがプロジェクト管理を難しくする要因の一つです。
【コミュニケーションの主な課題】
- 言語の壁による認識の違い
- 文化的背景の違いによる誤解
- 時差による連絡の遅延
特に要件定義の段階での齟齬は、開発全体に大きな影響を与える可能性があります。
この課題を解決する鍵となるのが、ブリッジSEの存在です。日本語が堪能な技術者が仲介役となることで、要件の正確な伝達や進捗状況の適切な把握、問題発生時の迅速な対応が可能になります。
優秀なブリッジSEは、技術的な知識と文化的な理解の両方を備えており、プロジェクトの円滑な進行に不可欠です。
また、プロジェクト管理ツールやビデオ会議システムなど、適切なコミュニケーションツールの活用も重要です。
オフショア開発の費用を抑えるコツ

開発コストの削減は、オフショア開発を選ぶ主な理由の一つです。しかし、単に安価な開発パートナーを選ぶだけでは、品質低下や手戻りによって逆にコストが膨らむリスクがあります。
ここでは、品質を維持しながら効果的に費用を抑えるための具体的な方法を解説します。
人件費の安い国を選ぶ
人件費の最適化は、開発コスト削減の重要なポイントです。開発品質とコストのバランスを考慮すると、東南アジア諸国が有力な選択肢となります。
特にベトナムは、プログラマーの人月単価が約39万円と競争力があり、技術力も高いことから注目を集めています。
地域別の特徴を見ると、ミャンマーやバングラデシュはさらに人件費が安価ですが、開発体制やコミュニケーション面での課題を考慮する必要があります。一方、中国やインドは技術力は高いものの、近年は人件費が上昇傾向にあります。
国の選定では、人件費だけでなく、政治的安定性やインフラ整備の状況、IT教育の水準なども考慮することが重要です。これらの要素が開発の安定性と、長期的なコストに影響を与えます。
プロジェクトの要件を明確に定義する
プロジェクトの初期段階で要件を明確にすることは、手戻りを防ぎ、開発の効率を高める重要なポイントです。具体的な要件定義書を作成し、開発チームと共有することで、認識の齟齬を防ぎ、開発期間の短縮が可能です。
特に重要なのは、機能要件と非機能要件の両方を詳細に定義することです。画面遷移や処理フローなどの機能面だけでなく、性能要件やセキュリティ要件なども明確にしておくことで、後からの修正や追加開発を最小限に抑えられます。
また、要件定義の段階でプロトタイプを作成し、実際の動作イメージを共有することも効果的です。これにより、開発チームとの認識合わせがスムーズになり、開発工程での手戻りを防げます。
開発する機能を必要最低限に絞る
開発する機能を最小限に絞り込むMVP(Minimum Viable Product)アプローチは、初期コストを抑える効果的な方法です。必要な機能を見極め、優先順位をつけることで、開発工数を適切にコントロールできます。
ただし、機能を絞り込む際は以下の点に注意が必要です。
- ユーザーの基本的なニーズを満たしているか
- 将来の機能追加が容易な設計になっているか
- 運用面での作業効率に影響はないか
段階的な機能追加を前提とした設計とすることで、初期投資を抑えつつ、ユーザーフィードバックをもとにした効率的な開発が可能になります。また、この方法は開発リスクの分散にも効果的です。
まとめ

オフショア開発では、国や地域によって価格帯が大きく異なります。ベトナムやミャンマーは比較的低コストですが、同じ国でも職種によって単価は違います。適切な開発パートナーを選ぶには、価格比較だけでなく、技術力や人材供給力、コミュニケーション体制などを総合的に評価する必要があります。
また、開発費用を抑えるには、要件の明確な定義と機能の適切な絞り込みが重要です。段階的な機能追加を前提とした開発計画を立てることで、初期投資を抑えるMVPアプローチを採用するのも費用を抑える方法の一つです。
トッパジャパンは、日本の開発会社としての強みを活かし、日本円決済・一貫したサポート体制を提供しています。また、品質を高く保ちながら価格を抑える独自のシステムがあることも特徴です。開発からセキュリティまで徹底した体制で、安心・安全なオフショア開発を実現しますので、開発先をお探しの方はぜひお気軽にお問い合わせください。