
海外企業と提携してプロジェクトを進めるオフショア開発では、秘密情報の保持に関するNDA(秘密保持契約)の締結が非常に重要です。開発パートナーとNDAを締結することで、設計書や顧客データなどの重要な情報を守ることができます。
本記事では、オフショア開発におけるNDAの重要性や開発国ごとに注意すべきポイントについて紹介します。オフショア開発の導入を検討している場合は、ぜひ最後までご覧ください。
NDA(秘密保持契約)とは
NDA(秘密保持契約)とは、契約当事者間で共有する情報を第三者へ漏えいしないよう義務づけるための契約です。開発プロジェクトでは、ソースコードや設計書、顧客データ、ビジネス戦略など、外部に知られてはならない情報を扱う機会があります。
NDAを締結しておくことで、何が秘密情報なのか、どのように管理すべきか、違反した場合の責任はどこにあるのかなどのルールを明確にできます。
特にオフショア開発では、国をまたいだコミュニケーションや複数企業との連携が前提となるため、情報管理のラインが複雑になりがちです。NDAは、双方の信頼関係を築くだけでなく、法的なトラブルを防ぎ、安心して開発を進めるための最初のステップといえる重要な契約です。
また、以下の記事ではオフショア開発について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
→ オフショア開発とは?メリット・デメリットや失敗例・おすすめの開発企業も紹介 – トッパジャパン株式会社
オフショア開発でNDAが重要な理由
海外企業とのやりとりが多いオフショア開発では、NDAを締結しておくことが非常に重要です。ここでは、オフショア開発でNDAの締結が重要視される理由を紹介します。
1. 秘密情報の漏えいリスクが国内開発より高い
オフショア開発では、国内開発と比べて秘密情報の漏えいリスクが高い傾向があります。背景として、開発チームが複数の国・地域にまたがり、情報の取り扱いフローが複雑になりやすい点が挙げられます。
ソースコードや設計図、顧客データなどの重要情報が、言語・文化・管理体制の異なる環境で共有されるため、誤った運用や想定外のアクセスが発生するリスクが増えるのです。
また、現地のセキュリティ基準や情報管理に関する意識が日本と異なる場合、些細な認識のズレが漏えいにつながるケースもあります。アクセス権限の付け方や、クラウドサービスの運用ルールが標準化されていない企業と業務を行う場合、不注意による情報漏えいが発生することも多いです。
このようなリスクに備えるためにも、NDAを通じて情報管理のルールを明文化し、共有範囲や取り扱い方法を明確にしておくことが欠かせません。契約で情報の保護体制を整えておくことで、海外パートナーとの開発を安全かつスムーズに進められます。
2. 国ごとの法律・規制の違いを補完する必要がある
オフショア開発では、国ごとに法律や情報保護に関する規制が大きく異なるため、その差を契約で補完する必要があります。たとえば、個人情報保護法や知的財産権に対する取り扱い方、裁判での有効性などは国によって基準が違います。
同じ守秘義務でも、損害賠償の認められ方、証拠の要件、裁判のスピードなどが大きく異なるため、NDA締結の際は注意が必要です。
また、情報管理に関する法制度が整備されていない・契約で定めた内容よりも、国内法が優先されるという状況も珍しくありません。そのため、どの国の法律を準拠法とするか、紛争時にどこの裁判所を管轄とするかを明確に決めておく必要があります。これは、トラブル発生時の対処のしやすさや、企業が自社の権利を守れるかどうかに直結する重要なポイントです。
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3. 開発パートナーとの信頼関係構築につながる
オフショア開発では、開発パートナーとの密接なコミュニケーションと信頼関係の構築が欠かせません。NDAを締結することは、単なる法的リスク対策ではなく、秘密情報を丁寧に扱う意思があるというメッセージを相手に示す行為でもあります。
情報管理の方針や扱い方を契約上で明確にしておくことで、双方が安心して情報を共有できる環境が整います。特に、要件定義や仕様策定といった初期フェーズでは深い情報共有が必要になるため、NDAがあることでスムーズな情報共有が実現しやすいです。
さらに、守秘義務の範囲や責任を明確にしておくことは、開発パートナー側にとっても信頼できる企業と仕事をしているという安心材料になります。結果として、長期的な協業や継続的な改善提案が受けやすくなり、より良い成果物を生み出すための前向きな関係構築につながります。
オフショア開発のNDAで記載すべき項目
オフショア開発を導入する前に、NDAに記載する項目を確認しておきましょう。海外企業と業務を進めるオフショア開発では、一般的なNDAの項目に加えて、コミュニケーションや法律の違いに起因するトラブルを未然に防ぐための内容を締結する必要があります。
ここでは、オフショア開発で締結するNDAに記載するべき4つの項目を紹介します。
1. 秘密情報の範囲
NDAを締結する際の最重要ポイントが、秘密情報の範囲をどう定義するかです。秘密情報の定義が曖昧だと、トラブルの原因になります。
通常は、ソースコードや設計書、要件定義書、顧客データ、業務ノウハウ、社内の戦略資料などが秘密情報として扱われます。
しかし、プロジェクトごとに重要となる情報は異なるため、契約書には具体的な記載が必要です。また、口頭で共有した内容も対象に含めるのか、どの形式で記録された情報を秘密とみなすのかなども明確にしておくことで、解釈のズレを防げます。
2. 例外条項
秘密情報として保護されるべきでない情報については、例外条項の設定が求められます。一般的には、すでに公知となっている情報、相手から提供されたものではなく独自に取得した情報、法的な義務によって開示が求められた情報などが該当します。
一見すると、例外条項の設定は無駄に思えるかもしれませんが、秘密情報の重要度を高めるには欠かせない要素です。
例外条項を明記しておくことで、契約の対象が不当に広がることを防ぎ、双方にとって現実的で適切な守秘義務の範囲が設定されます。
3. 情報の返却・破棄の義務
開発プロジェクトが終了した際に、オフショア先が保持しているデータや資料をどのように扱うべきかを明確に定めておくことも重要です。具体的には、紙や電子データの返却、サーバー上のデータ削除、バックアップの破棄などが含まれます。
返却・破棄の方法や完了報告の形式まで契約で規定しておくことで、情報が不要に残り続けることを防ぎ、契約終了後の漏えいリスクを最小化できます。
4. 監査権の有無
監査権とは、秘密情報の取り扱いが契約どおりに行われているかを確認するため、必要に応じて監査を実施できるかを規定する条項です。監査権を設定することで、情報の保管状況やアクセス管理に問題がないかを把握でき、重大な漏えいを未然に防ぐことができます。
監査を行う場合は、具体的な手法や頻度を定めておくと、実務上の負担を減らしつつ適切な情報管理体制を維持できます。
オフショア開発でNDAを締結するときの注意点
オフショア開発でNDAを締結する際は、国内開発とは異なるポイントに注意する必要があります。ここでは、オフショア開発でNDAを締結する際の注意点を紹介します。
1. 法律・管轄をどちらの国に合わせるかを明確化する
オフショア開発におけるNDAで特に重要なのが、契約をどの国の法律に基づいて解釈するか・トラブルが起きた場合にどこの裁判所で扱うかを明確にすることです。国境を越えた契約では、法律の考え方や解釈が大きく異なるため、トラブル発生時の判断基準が不明瞭になり、解決までに時間がかかってしまいます。
また、国によって損害賠償の上限や契約違反に対する制裁の考え方が異なるため、どの法律を適用するかは企業のリスク管理に直結します。
管轄裁判所の指定も同様で、海外での訴訟は言語や費用の負担が大きく、現実的に対応が困難になることがあるため、慎重な検討が欠かせません。こうした不利益を避けるためにも、契約段階で準拠法と管轄を明確に定め、あらゆるトラブルに備えておくことが重要です。
2. 再委託する場合の情報提供ルールを定める
オフショア開発では、開発会社がさらに別の外注先へ業務を再委託するケースも珍しくありません。しかし、再委託が発生すると、情報共有の範囲が広がり、秘密情報が第三者へ渡るリスクが一気に高まります。
そのため、再委託の可否や第三者への情報提供ルールを明確に定めておくことが重要です。
また、再委託先が守秘義務に違反した場合の責任所在も明らかにしておきましょう。細かくルールを決めておくことで、企業側が予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性を減らせます。
国別で注意すべきNDAのポイント
オフショア開発におけるNDAの締結では、開発国によって注意すべきポイントが異なります。ここでは、開発国ごとの注意点を紹介します。
ベトナム|言語の違いによる認識齟齬が起こりやすい
ベトナム企業とのオフショア開発では、英語をベースに契約を交わすケースが多いものの、細かなニュアンスの違いから認識のズレが発生しやすい点に注意が必要です。法的文書特有の表現や専門用語は誤解されやすく、秘密情報に該当する内容や例外条項の範囲などの理解が双方で異なる場合があります。
そのため、重要な項目は日本語・英語・ベトナム語の3言語で明記し、可能であればリーガルチェックを専門家に依頼することが推奨されます。契約前に条文の意図を両社で確認し合うプロセスを設けて、認識齟齬を最小限に抑えましょう。
また、以下の記事ではベトナムでのオフショア開発について解説しています。あわせてご覧ください。
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中国|競業避止や損賠賠償の要件が厳格
中国では、競業避止義務や高額な損害賠償を求める条項は「要件が厳格」であり、範囲・地域・期間・補償金の条件を満たさないと無効と判断されることがあります。中国の法律では、過度に相手企業のビジネス活動を制限する条項は認められにくく、特に競業避止条項は注意が必要です。
また、損害賠償の上限を高額に設定すると、裁判で否定されるリスクもあります。
そのため、中国企業とNDAを結ぶ際は、中国法の基準に合わせた条文設計が重要です。競業避止の内容を具体的かつ合理的な範囲にとどめ、損害賠償も直接損害のみに限定するなど、法的に無効化されないような形に調整することが求められます。
インド|準拠法と損害賠償条項の書き方がシビア
インドでは契約の法的解釈が非常に厳格で、条文の曖昧な表現がそのまま不利な判断に結びつく傾向があります。特に、準拠法の指定や損害賠償の条項は細かく書き込む必要があり、抽象的な文言では企業側のリスクが高まります。
具体的には、どの損害が賠償対象になるか、免責となる条件は何か、直接損害・間接損害の扱いをどうするかなどを明確に記載することが重要です。
また、以下の記事ではオフショア開発におけるおすすめ企業について解説しています。あわせてご覧ください。
→ オフショア開発会社おすすめ9選|失敗しないためのポイントや活用のメリット・デメリットも – トッパジャパン株式会社
まとめ
今回は、オフショア開発におけるNDAの重要性や開発パートナーごとの注意点について紹介しました。海外企業と提携して業務を進めるオフショア開発では、ソースコードや設計書、顧客データなどの情報を守るためのNDAの締結が欠かせません。
オフショア開発の導入を検討している場合は、まずはNDAの重要性や締結内容を確認しましょう。また、国ごとに注意すべきポイントも異なるため、プロジェクトに応じたNDAを作成することが重要です。
トッパジャパンでは、ベトナムでのオフショア開発を提供しています。お客様のニーズに合わせた柔軟なサービスの提供が可能なので、NDAをはじめとする各種契約についてもご相談いただけます。
オフショア開発の導入を検討している方は、ぜひトッパジャパンにご相談ください。
この記事の著者
- 教育系・製造業のシステム開発・AI開発に強い開発会社「トッパジャパン」。現場密着のサポート体制や、豊富な実績・経験をもとにした幅広い対応力、国内外で実績を積んだ優秀なメンバーによる高いコストパフォーマンスで、お客様のニーズにお応えしています。
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